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ワールドニュース

狼狽

投稿日:2009年8月1日

ある夜、カスカ(Casca)は自分の部屋で現在の状況を検討していた。突然、音もなく誰かが部屋に入ってきてカスカに向かって話しかけた。

「我が君」

思考を中断されたカスカは不機嫌そうに顔を上げ、声のする方向を向いた。ろうそくの光が届きにくい部屋の隅に人がいるのが辛うじて見えた。

「お前か。わしのところに、何人始末したかの報告は上がってきていないが、首尾はどうなっておる。報告に来たということは、当然、いい知らせを持ってきたのだろうな?」
「それが……」人影は口ごもった。「布告に恐れをなしたのか、我が君に抵抗するものの動きが全くつかめなくなっております。しかし、民衆の中には、我が君に嫌悪感を抱いているものは少なくなく、潜在的な抵抗者は多数存在しているかと……思われます……」
「この役立たずがっ! このわしに逆らうような発言やそぶりを見せたら始末するぐらいの機転はきかないのか! 見せしめが必要なことくらいわからんのか!」
「恐れ多くも、我が君。奴らは狡猾で簡単にはしっぽを出さないのです。間違って我が君に忠誠を誓う者を殺めてしまえば、我が君の立場もなくなってしまうかと……」
「黙れ役立たず! 手練れの者だというから使ってやったのに、なんだこの様は! 出て行け! この世界から消えてなくなるがいい!」

激昂したカスカが人を呼ぼうとしたので、人影はあわてて次の言葉を言った。

「お、お、お待ちください。特別な情報を手に入れましたので、ど、どうか……」
「なんだと?」呼吸を少し整えてカスカは言った。「本当に特別なんだろうな? 言ってみろ」
「はっ、トランメル ユー西の海岸沿いにドーン(Dawn)が所有すると思しき家を発見しました。人気(ひとけ)はなかったのですが」
「ドーン……だと……」

カスカはしばらく沈黙し、そして部屋の中を歩き回り始めた。どうやら考えをまとめているようだ。

ドーン、あのドーンか? 古くからのロイヤルガードどもは、ドーンへ絶大の信頼を寄せている。市民への人気も同様だろう。そのドーンを取り込むことができれば、まさに勝利を手にしたも同然だ。しかし、わしに抵抗する活動を広く始めたら、我々が押されることになりかねん……。ここで勝負に出て、勝ちを確かなものにするには……。

せわしなく動いていたカスカが急に足を止めた。

サーペンツホールドの時現れたのは女。ドーンも女。そうか。わしの前に立ちはだかるのはいつも女か! ここは流れを変えるためにも潰さねばならん!

そして、大きな声で言った。

「よし、その家に火をはなて。ゆっくりと確実に燃やし尽くすようにな! ドーンはこの火を見てどう思うかな? 火が定着した後は別のものにやらせる。お前は、また民衆にまぎれ行動しろ。いいか、見せしめが必要だ。少しでもわしに反抗の意思を表している者を見つけたら、始末しろ」

Dawn's House

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